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カヤック東京湾ほぼ一周 vol.2「初漕ぎは多摩川で」

  • 執筆者の写真: roki
    roki
  • 7月8日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月10日

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 舟が届いて最初の週末、さっそく近所の多摩川で初漕ぎ。バラバラのアルミ・フレームと折りたたんだ船体布の入った大きなバッグを背負い、パドルを持って川へ。


 重量は14㎏ちょっとの筈だが、これが意外に重く感じる。腰ベルトのある登山用のバックパックと違い、カヤック用のバッグには簡易式の細い肩ベルトだけ。


 ベルトが細いので、全重量が両肩に食い込み、ジンジンと痛い。肩とベルトの間にタオルを挟んで、取り合えずしのぐ。


 ようやく川岸にたどり着き、また大汗をかきながら組み立てを開始する。

組み立て中、色んな人に声をかけられた。折り畳み式カヤックは近所では珍しいらしい。


 カヤックの構造や、購入金額に関する質問が一番多かったが、「一人で漕ぐの?」という「素朴な疑問」も二回ほど。いずれも団塊の世代と思しき御人からの質問。


「一人になるために漕ぐんですよ」と、多少ひねくれた回答をした(事実だ)が、

集団ではなく単独で漕ぐ、というのは珍しいのだろうか?


 一時間ほど悪戦苦闘の末、ようやく完成。一人乗り用にシートを舟の真ん中にセットし、へっぴり腰で舟に乗り込む。

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 ところがこれが、思いのほか左右に揺れる!

いや、揺れるのは、バランスを取ろうとして自分の両膝が必要以上に動いているからだと気づいた。心を落ち着け静かにすると、舟は黙って浮かんでいる。静寂・・・



漕ぎ始めて半時間、漸く左右のグラつきが消え、パドルもリズミカルに繰り出すことが出来るようになり、身も心も落ち着き始めた。


 突然、川面がバサーっと音を立て、無数の小魚が目の前をジャンプして横切っていった。


「!」


 一尾、舟の中に飛び込んできた。足元でピチピチ跳ねている。ハヤの子だろうか? 


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慌てて写真を一枚撮り、そっと川に戻した。


 小魚たちは何に追いかけられていたのだろう? ブラックバス?

静穏に戻った川面を見ながら、水中の様子を想像してみる。


 その僅か数分後、今度は小さな中州近くの浅瀬で水面が激しく炸裂した。

10メートルも離れていない場所で、いくつもの大きな背ビレと尾ビレがうねっている。


 鯉の産卵だった。

一匹のメスにオスが何尾も群がり「良いポジション」を取り合っているようだ。


人間界と同じじゃないか!


 初めてのカヤックで、一時間も漕がないうちに、こんなに色々な驚きがあるとは。

多摩川は生きていた。


(つづく)


 
 
 

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(photo & comments by Hiroki Kawamura)

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